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【連載】研究員リレー書評

November 28, 2017

東京財団研究員による月1リレー書評がスタート! 専門家は何を選び、どう読むのか。鋭い批判・分析から評者の横顔に迫る新連載。


 

(2017年11 月)

「エビデンスに基づくエネルギー政策議論の積み石に

評者 舘祐太データ・アナリスト

依田高典・田中誠・伊藤公一朗著『スマートグリッド・エコノミクス――フィールド実験・行動経済学・ビッグデータが拓くエビデンス政策』(有斐閣、2017)

電力価格が上昇した際、人々は電力消費をどれくらい削減するか。節電要請や社会的行動といったインセンティブのもとで、人々はどのように電力消費を変化させるか。定量的な研究が行われていなかったこれらの疑問に対し、フィールド実験によってその影響度合いを明確に示したものが本書である。2011年の東日本大震災と、それに続く……( 続きを読む

(2017年10 月)

政策問題をどのようにとらえ どのように解決するか

評者 吉原祥子 研究員

秋吉貴雄著『入門 公共政策学―社会問題を解決する「新しい知」』(中央公論新社、2017)

素朴な質問を投げかけられ答えに困った経験は多くの人にあるだろう。本書は、大学で長年、公共政策学を教える著者が、たびたび聞かれる「公共政策学って何ですか」という率直な問いに、わかりやすく答える本である。
朝の通勤・通学ラッシュといった……( 続きを読む

(2017年8 月)

E.H. カーへの回帰

評者 小原凡司 研究員

E.H.カー著、原彬久訳『危機の二十年――理想と現実』(岩波書店、2011)

現在の国際情勢を観察していると、E.H.カーが「危機の二十年」で述べてきたことが、正に起ころうとしているかのように見える。「ユートピアとリアリティの対立は、あたかも天秤のように均衡を得ようとしてつねに揺れており、決して完全にはこの均衡に達することはないのである」という言葉は……( 続きを読む

(2017年7 月)

「知ることは分断に立ち向かう大きな一歩」

評者 冨田清行 研究員

ジグムント・バウマン著、伊藤茂訳『自分とは違った人たちとどう向き合うか―難民問題から考える』(青土社、2017)

いま世界中に蔓延する「分断」がもたらす絶望感に、われわれはどのように立ち向かえばいいのか――。本書が投げかける問いは、果てしなく重い。難民を取り巻く過酷な状況に接し、心を痛め、どうすれば良いのかを考えても簡単に答えは出てこない。そうするうちに……… ( 続きを読む

(2017年6 月)

「福祉国会再編に向けたヒント」

評者 三原岳 研究員

田中拓道著『福祉政治史』(勁草書房、2017)

本書は、高齢化やグローバル化、社会保障費の増加、格差拡大などに直面する欧米各国が自国の福祉政策をどのように改革してきたか、その形成と変容過程を考察しており、日本の社会保障制度改革の方向性を考えるうえで多くの示唆を含んでいる。具体的には……( 続きを読む

(2017年5 月)

対極的な米国社会の断面が見せる実相

評者 森信茂樹 上席研究員

ジェイン・メイヤー著、伏見威蕃訳『ダーク・マネー――巧妙に洗脳される米国民』(東洋経済新報社、2017)

J.D.ヴァンス著、関根光宏、山田文訳『ヒルビリー・エレジー――アメリカの繁栄から取り残された白人たち』(光文社、2017)

世界を驚かせたトランプ大統領の誕生だが、その背景を知りたいと考えて、米国著者のジェイン・メイヤー著『ダーク・マネー』とJ.D.ヴァンス著『ヒルビリー・エレジー』を読んでみた。前者は、いわゆるエスタブリッシュメントの話で、後者はプアホワイトの中の最下層の話で、対極的な米国社会の断面をそれぞれ異なる切り口で描いて…( 続きを読む

(2017年4 月)

評者 池本大輔 政治外交検証研究会プロジェクトメンバー、明治学院大学法学部教授

遠藤乾著『欧州複合危機:苦悶するEU、揺れる世界』(中央公論新社、2016)


著者の狙いは、現在のEUが直面するユーロ危機、ウクライナ危機、難民危機・テロ、イギリスのEU離脱を「複合危機」としてとらえた上で、歴史的文脈に照らして検討し、政治的な要因を分析し、内的な連環を探ることにある。「複合」には三つの意味があり……( 続きを読む

(2017年3月)

グローバル課題を解決できない専門家たち

評者 浅野貴昭 研究員
David Kennedy著 "A World of Struggle: How Power, Law, and Expertise Shape Global Political Economy" (Princeton University Press, 2016)


本書は、様々な国際問題に関わる専門家や実務家に光を当て、グローバル・ガバナンスの「知」を司る彼ら自身がいかに権力として作用しているかを批判的に分析している。具体的には、法律家、エコノミスト、官僚や活動家といった人々が分析の対象で、そうした専門家と、彼らが体現する知識、専門性が国際政治経済において果たす役割についての…( 続きを読む

(2017年2月)

watanabe 多元的な政治制度が可能にする経済的繁栄

評者 渡部恒雄上席研究員
ダロン・アセモグル、ジェイムズ・A・ロビンソン著、鬼澤忍訳『国家はなぜ衰退するのか―権力・繁栄・貧困の起源(上・下)』(早川書房、2013)


この本は2013年に翻訳・出版された本だが2016年に文庫化され、米国でのトランプ政権の誕生やイギリスのEU離脱など、既存の民主主義や自由経済の方向性を揺るがす大きな出来事が起きた2016年、評者の個人的な経験とも重なり、最も影響を受けた本となった。本書の仮説は…( 続きを読む

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